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2016/5/10

未来の乗り物「WHILL」に乗ってきた!(2)

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Interview



「WHILL」の試乗体験に続いて、開発の経緯や仕事に対する想いなどを、WHILL株式会社営業・マーケティング1部部長の吉岡さんに伺いました。



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「100m先のコンビニに行くのをあきらめる」



【深澤】「WHILL」はどのような経緯で開発されたのですか?

【吉岡】「100m先のコンビニに行くのをあきらめる」。一人の車いすユーザーの言葉がきっかけで「WHILL」は生まれました。

【深澤】「…あきらめる」と言いますと?

【吉岡】今までの車いすでは、実際の歩道にある段差や傾きなどの物理的な障害、また自分が車いすに乗っている姿を見られるのが嫌だという心理的な障害によって、外出することが億劫になり、結局、家に引きこもってしまうという課題がありました。



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このような課題をテクノロジーで解決できないか。そんな想いから、車いすの既成概念を超えた、カッコよくて誰もが乗りたくなるパーソナルモビリティ「WHILL」の開発が始まりました。

【深澤】たしかに、自分事として置き換えると、見られたくないという気持ちはわかります。だけど、この「WHILL」は、先ほども試乗しましたが、誰にとっても乗りたくなるデザインですよね。ちなみに「WHILL」の名前に意味はありますか?

【吉岡】車輪、ホイールの「wheel」と、未来への意志「will」を掛け合わせた造語です。「未来の乗り物をつくろう」という想いが込められています。



事業を継続していくことの責任



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【深澤】ほんと未来感ありますよね。2014年に販売を開始されてから、ユーザーがどんどん増えていると思います。心境の変化などありますか?

【吉岡】「WHILL」を購入される方には、「こういうの欲しかった!」「これなら外に出たい!」と本当に喜んでもらえています。ご家族の感想では、「おじいちゃんが外によく出るようになりました」「息子の笑顔が増えました」と喜びの声をもらえます。

ただ、ユーザーが増えてきて、期待を感じているとともに、責任の重さをひしひしと感じています。

【深澤】どのような責任でしょうか?

【吉岡】期待をいただくことが嬉しいと思う反面、そうはいっても、まだベンチャー企業なので、事業を続けていくことが一番大事だと思っています。

極端な話ではありますが、もし会社が潰れたとなると、今「WHILL」を使用されているお客様も、商品が届くのを待っているお客様も、ひどくがっかりされることになります。

我々としては、この商品を、より多くの人に届け続けていくために、会社としてしっかり続けていく、そういう責任を強く感じています。



口コミが大事!



【深澤】ユーザーが増えて嬉しい反面、そういった責任も大きくなるんですね。吉岡さんは、営業・マーケティング1部の部長としてお仕事をされていますが、日々のお仕事のなかで、大切にされていることは何でしょうか?

【吉岡】すごい基本的なことですが、誠実に対応したいといつも思っています。というのも、私は、福祉や介護とはまったく違う業界にいたので、電動車いすを販売するにあたり、最初は戸惑いがありました。お客様のなかには、重度の障害を持っている方や介護で大変な方などもいらっしゃいます。当初、そのようなお客様との距離感がわからない。どこまでやればいいのか、どこからが差し出がましいのか、そういったことがわかりませんでした。

【深澤】その気持ち、福祉関係に従事されている方はよくわかります。はじめはみんなそうですよね。



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【吉岡】そこで、わからないのはわからないでしょうがないのだから、私がやるべきことは「誠実に対応すること」そう考えました。変にわかったような顔や逆に遠ざけるようなことをしないで、お客様の声を素直にしっかり聞いて対応するようにしました。ですので、それからはいつもお客様に対して誠実に対応することを大切にしています。

【深澤】なるほど。

【吉岡】それに、弊社の商品「WHILL」に興味を持ってくれる人ってまだまだ少ないんです。色々なメディアに取り上げてはいただいてますが、それでも100人いるなかで、1人知っている人がいるかどうか。

そのなかで「WHILL」を広めていくには、お客様の口コミがとても大事だと認識しています。「WHILL」を体験されたお客様に、「乗っていて楽しいよ!」「乗っているところを知り合いに目撃されて、『カッコいいね!』って言われたよ!」と、この商品の良さを広めてもらうためには、まずお客様から信頼をいただくことが必要です。では、その信頼って何かというと、やはりなにげない誠実な対応だったりするのではないでしょうか。

【深澤】個人の意見が広まりやすい時代、そういったユーザーの声ってとても大事ですよね。



本当のバリアフリーとは?



【吉岡】もう一つ、私たちには強く思っていることがあります。「WHILL」は、電動車いすという分野に入るのですが、その「車いす」という概念を変えたいと起業当初から強く思っています。

【深澤】「車いす」の概念ですか。

【吉岡】はい。私たちは、「WHILL」を「車いす」とは言わず「パーソナルモビリティ」という言い方をしているぐらい、既存の考え方を変えたいという思いがとても強いんです。というのも、「車いす」と言葉にした時点で、「自分は乗りたくない」と拒絶される人は正直いらっしゃいます。

【深澤】引け目を感じる。その気持ち、わかります。

【吉岡】だけど、「WHILL」は違います。健常者か障害者かは関係なく、今までにもない、誰もが「乗ってみたい!」そういった商品なんです。ですから、「これは新しい乗りものなんです!」「健常者だって乗って楽しんでいるんですよ!」という発信をします。




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過去に出展した東京モーターショウやボーダーなどのイベント、そういった今までの車いすにはない発想で発信をし続けることで、概念を変えることができると信じています。世間に注目されることで、また声をかけてもらえますし、そういう「魅せ方」は常に意識しています。

【深澤】なるほど。では、「WHILL」の「魅せ方」として、お客様に価値を感じてもらうためにおこなっていることって何でしょうか?マーケティングの観点からお願いします。

【吉岡】マーケティングの観点で申し上げると、「WHILL」を「電動車いす」として見せるのではなく、すべての人が乗りたい、乗って楽しいと思える「パーソナルモビリティ」ということをお客様にお伝えしたいと思っています。



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「WHILL」の魅力を感じてもらうためには、実際に乗ってもらうことが重要です。たとえば、東京モーターショーなどで試乗会をおこなう際には、段差や坂道、砂利道などのコースを用意して、なるべく多くの人に興味を持ってもらえるようにしました。結果、3000人以上の健常者や障害者、高齢者の方に「WHILL」を試乗していただきました。

【深澤】3000人以上も!試乗された方たちの感想はいかがでしたか?



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【吉岡】みなさんに「楽しかった!」と喜んでもらえましたよ。

【深澤】たしかに実際に乗ってみると本当に楽しいんですよね。「楽しい」の他にも「うれしい」とか「きれい」などと感じてもらうようにする「魅せ方」ってとても大事ですね。同じ商品でも表現が違うだけで、売上げなどにも大きく差が出てしまうのは自明の理ですし。

【吉岡】しかし、多くの人に「WHILL」を知ってもらうために、魅力的でかっこいい動画やホームページなどを作っても、「健常者がキャーキャー言ってる」「そんなのは不謹慎だ」「車いすで遊んじゃいかん」と言われてしまうこともあるんですよ。

【深澤】考え方が古い……ですね。

【吉岡】そのような考えを持つ人のなかには、「車いす」というのものは、守られるべき障害者や高齢者のものであり、それは通常の商品やサービスとは違う、そういう意識が根底にあるのではないでしょうか。

【深澤】うんうん。そう思います。



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【吉岡】本当のバリアフリーというのは、車いすを必要とされている障害の方や高齢者の方が、乗ることに対して変な思いを抱かないことだと考えます。私たちが作っているのは電動車いすではなく、車いすユーザーの人もそうでない人も乗ることができる「パーソナルモビリティ」です。

私たちは、福祉介護業界といった限られたなかにとどまることなく、今までの「車いす」という概念を変えて新しい世界を作るという気概を常に持っています。

本当にそういう世界が実現すれば、街中で「WHILL」に乗っている人が、健常者か障害者かなんてわからなくなりますよ。

【深澤】まさしく、それが本当のバリアフリーですね!これから、街中で普通に「WHILL」を見かけることが多くなっていきそうですね。





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WHILL株式会社: https://whill.jp/


作成者:深澤 裕之