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2016/9/5

分身ロボット「OriHime」を体験!

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今回は、分身ロボット「OriHime」を体験しに、三鷹市にある株式会社オリィ研究所さんにお邪魔しました。過去に展示会などで「OriHime」を見かけたことはあるのですが、実際に体験するのは初めてなので、かなりうれしいです。



目次


1.分身ロボット?
2.生まれた経緯
3.さまざまな場面で活躍!
4.こちらがスペック
5.ポイント
6.操作方法はかんたん!
7.導入事例
8.まとめ



1.分身ロボット?


OriHimeは株式会社オリィ研究所が開発した「ロボットと人ではなく、人と人をつなぐロボット」がコンセプトのコミュニケーションロボットです。

OriHimeは、病気による入院や身体的問題、単身赴任などによって行きたいところに行けない人の分身となります。搭載されているカメラやマイク、スピーカーを使用しインターネットを通して操作します。

学校や職場、自宅など行きたい場所へOriHimeを置き、操作するパイロットは、専用のアプリから会話や拍手、周囲を見回したりなどのアクションが実行できます。

パイロットの家族や友人は、あたかもその人(パイロット)がそこにいるように会話ができ、一緒の時間を過ごすことができるんです。人工知能とは違いますよ。



2.生まれた経緯


OriHimeが生まれた理由は、オリィ研究所代表取締役CEOの吉藤さんが過去に経験した「孤独」にあります。



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株式会社オリィ研究所の吉藤さん(右)とOriHime+パイロットで秘書の番田さん(左)



吉藤さんは、小学校から中学校へあがる3年半の間に、過度なストレスで精神的・肉体的に弱り自宅療養となりました。その結果、勉強は同級生から遅れ劣等感を抱くようになりました。また、成長する友人らとの会話にはついていけず人間不信になり、つらい孤独の期間となってしまいました。

このような経験から、吉藤さんは「孤独」が自身の問題だけではなく、社会問題でもあることを知ります。そして、孤独になってしまった当時の吉藤さんが本当に欲しかったものは、自分のことをまわりに認識して欲しかった、忘れて欲しくなかったということ。

その後、「孤独問題を解決したい」と真剣に考えた吉藤さんは、ものづくりが趣味だったこともあり、福祉機器の開発や人工知能についても学びました。しかし、「人工知能が人を癒している未来」よりも、「親しい人同士がつながり、孤独でなくなる未来」を創りたかったことに気づき、ここから「OriHime」の開発がスタートすることになりました。自ら部品一つひとつを設計し、工作機械を使って加工し開発しました。すべて独学だそうです。

「孤独問題を解決したい」と思い立ってから「OriHime」が誕生するまで5年の歳月が流れ、その後、吉藤さんは、青年版国民栄誉賞「人間力大賞 2012」やスタンフォード大学E-bootCamp日本代表、2015年9月号AERA「日本を突破する100人」、フォーブス「30 Under 30 2016 ASIA」などに選ばれています。



3.さまざまな場面で活躍!


OriHimeの活躍する場面はさまざまです。身体的・精神的な理由で学校に行くことができない人でも、友達と一緒に勉強や遊ぶことができ、クラスのみんなと共通の思い出を残すことができます。その他にも、ケガや病気で職場に行けなくなってしまった人でも、在宅や病院からOrihimeを遠隔操作することで、会議に参加したり業務指示を出すなど、まるでオフィスに存在するかのようにリモートワークを行うことが可能です。

たとえば、神経難病などによって呼吸器を必要とし話すことや、または身体を動かすことができなくても、OriHimeを使用することで自由に視界を操ったり、文章をロボットに読み上げさせることなどで会話ができます。



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OriHimeがまとう存在感は独特で、単身赴任で離れてしまっている家族や田舎で入院している両親などにも隣にいるような安心感を与えます。



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こちらはオフの状態。



実際に一部の結婚式場ではOriHimeをすでに導入しています。おじいさんやおばあさんの身体が不自由でお孫さんの結婚式に参加できない場合などに使用されるそうです。人の気持ちに寄り添うとても良いサービスですよね。



4.こちらがスペック


サイズ:高さ 21.5cm、幅 約15cm(腕を畳んだ状態)、奥行き 約23cm
重量:587g
電源:ACアダプタ入力 AC100-240V 50/60Hz、OriHime本体 5V1A
カメラ:水平画角 103°カメラ
サウンドデバイス 内蔵マイク:40mmスピーカー、3.5mmジャックによる外部スピーカー・マイクの接続可能
インターフェイス:PC接続用 USB 2.0
動作温度範囲:0-40℃



5.ポイント


OriHimeは「本人に見えてくるデザイン」で、喜怒哀楽など様々な表情に見える能面を参考にデザインされています。能面が見る側に多様な表情を想起させ、じわじわとOriHimeがパイロット本人に見えてきます。きっと能面のようでなければ、パイロット本人のイメージと交わっていかないんでしょうね。

頭や胴体、両腕の曲線美がとても気持ち良いですね。気持ち良いというとなんか変ですが、触りたくなる感じです。特にクリオネの羽のような両腕がつかみたくなります(笑)頭も両腕もタブレットやスマホなどから自由に動かすことができます。操作については後ほど。

重量は500ミリリットルのペットボトルよりちょっと重いくらい。片手でも余裕で持てる重さですね。

初期設定が済めば、ネット接続したOriHimeをパソコンと電源に挿すだけで使うことができます。操作は、タブレットやスマホを使用して、iOSのアプリからOriHimeをコントロールします。本体は小さいのでどこへでも持ち運びできそうです。

吉藤さんはOriHimeを世界中に置くことで、誰もが自由に旅行を楽しめるようにしたいと話してくれました。



6.操作方法はかんたん!


操作方法はとてもかんたんです。OriHimeを電源とパソコンにつなげるだけで誰でも操作できます。難しい設定はいりません。



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  • タブレット右側にある緑のボタンがアクションボタンです。「はい」や「いいえ」、「拍手」などあらかじめ登録されているアクションボタンで感情を表現できます。
  • 画面中央の下部にあるOriHimeは、現在の動きや姿勢を表します。
  • 中央下部のOriHimeの両サイドにあるサークルは、円を自由にスワイプすることで、左右の腕を動かすことができます。
  • 左側下部にあるスライダーは、ボリュームの調整です。
  • 左側上部にあるバツボタンで通話を終了します。


OriHimeのつかいかた


実際に使ってみると、タブレットやスマホから見える映像はとてもクリアでよく見えます。頭も上下左右に動きますので視野は狭く感じません。動作もボタン操作との時間差によるストレスはありません。一連の操作は短い時間で簡単に慣れるようです。



7.導入事例


下記のリンクはショートドキュメンタリー動画です。ノルウェーではALS末期患者の在宅医療は困難で施設に隔離されてしまうそうです。OriHimeと出会った闘病中の2児の男性は、父親としての役割を果たせるようになりました。子供たちの喜んでいる姿が目に焼きつきます。



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https://www.nrk.no/dokumentar/xl/er-pappa-via-robot-1.12282264

引きこもりがちで人が怖いといった対人恐怖症などの人でも、OriHimeを使用すると話せるようになるという研究も行われているそうです。





こちらは透明文字盤をデジタル化することで、視線入力で文字を打ち読み上げることのできるソフトウエア「OriHime eye」の紹介動画です。ALSなどで目だけで会話する方が、デジタル透明文字盤でもっと簡単に会話できるようになりました。21都道府県から問い合わせが殺到しています。



OriHimeを利用されたい方はレンタルができます。個人や法人向けに、短期や長期、1日レンタルが可能です。



8.まとめ


OriHimeを開発する株式会社オリィ研究所が提供したいサービスとは、ロボットではなく「そこにいる価値」です。

今まで病気やケガなどの身体的な問題で、家族や友人など会いたい人に会えなかったり、学校や会社に行くことができなかったりなど、いろんなことを諦めてしまっていた多くの人たちにとって、OriHimeは今後なくてはならないものになるかもしれません。もうすでに使用している人たちにとっては必要不可欠なもので、それは周りの人たちにとっても同じことです。

なぜかというと、OriHimeはただの一方通行のロボットではなく、人と人のつながりを目指した双方に価値のあるロボットだからなんです。つながっているということは、もうそこに存在しているということ。一度でも触れ合ってみるとOriHimeのこの存在感がとても大きく感じられます。気になった人にはぜひ一度体験してほしいです。



株式会社オリィ研究所:http://orylab.com/
「OriHime」WEBサイト:http://orihime.orylab.com/



作成者:深澤裕之