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2016/12/20

ケアとソリューションフォーラム「AIとケア」レポート

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ケアとソリューションフォーラム「AIとケア」レポート


一般財団法人住友生命福祉文化財団(大阪府)と一般財団法人たんぽぽの家(奈良県)が主催(共催:川崎市)するケアとソリューションフォーラム「AIとケア」が、12月12日に川崎市の川崎フロンティアビル KCCIホールで行われました。

一般財団法人たんぽぽの家は、「ケアする人が心身ともに健康であってはじめて、他者を気づかう支えあいの社会が実現できる」との考えから、ケアする家族を支える活動として、全国各地で住友生命福祉文化財団と共催でセミナーを開催しています。

今回は、「人の思いやり・気づかいはどう変わるか」をテーマとして、基調講演やディスカッションなどが行われました。その様子を一部ですがご紹介します。

基調講演 キーノート・トーク


基調講演は、豊橋技術科学大学教授の岡田美智男氏。「人工知能の思いやり 〜ロボットをケアの視点から見つめなおす〜」と題して登壇しました。





岡田氏は、人からのアシストや優しさを引き出しながら、結果として目的を果たしてしまう、関係論的な行為方略を備える「弱いロボット」の研究に取り組んでいます。





「自立するとは、むしろ依存先を増やすこと」との考えから、「弱いロボット」というコンセプトが生まれたそうです。

ひとりではゴミを集められないという「ゴミ箱ロボット」も開発されています。このロボットは、人からアシストを引き出すことで、結果としてゴミを拾い集めてしまうとのことです。弱いことが逆に力になるんですね。

岡田氏の開発する「弱いロボット」はこちらから。
https://www.icd.cs.tut.ac.jp/





キーノート・トークは、京都大学総合博物館准教授の塩瀬隆之氏。技術開発者は何を想い、ケアの現場は何を大切にしていくのか。テクノロジーの動向を踏まえ、テクノロジーと人の距離について話しました。

実践報告


次に、コミュニケーションロボット「パルロ」と実際に過ごす介護施設(社会福祉法人富士白苑 介護老人福祉施設 中井富士白苑)と経済連携協定(EPA)をきっかけに外国人介護福祉士候補者の受け入れを行なっている現場 (社会福祉法人千里会 第2横浜パークサイドホーム)からの実践報告が行われました。




中井富士白苑 生活支援課長の齋藤栄一郎氏。




第2横浜パークサイドホーム 施設長の牧野裕子氏。

ロボット&機器体験コーナー


会場内には、ロボットや機器の体験コーナーがありました。




「なでなでワンちゃん」「なでなでねこちゃんDX2」(出展:トレンドマスター株式会社)





「メンタルコミットロボット パロ」(出展:大和ハウス工業株式会社)





「パルロ」(出展:富士ソフト株式会社)





「OriHime」(出展:株式会社オリィ研究所)





「Pepper」(出展:ソフトバンクロボティクス株式会社)



パネルディスカッション







パネリストは、基調講演の岡田氏と実践報告から牧野氏、川崎市経済労働局の滝口和央氏(次世代産業推進室 ウェルフェアイノベーション担当係長)、富士ソフト株式会社の上竹淳二氏(プロダクト・サービス事業本部 PALRO事業部)、公益社団法人かながわ福祉サービス振興会 理事長の瀬戸恒彦氏。コーディネーターを務めたのは、キーノート・トークの塩瀬隆之氏でした。

テーマは、介護・介助や子育てなど身近な人をケアすることが増えていくなかで、今まで接したことがない存在に、大切な家族や自分の身を任せることができるのか。あるいは、ただ役割を託すだけではなく、一緒に暮らしていくために必要なこととは。

これからできることについて、大学や行政、そして福祉と企業をつなぐ視点で議論が行われました。

感想


ディスカッションの冒頭で滝口氏が、「多様性を活かした社会を作っていきたい」と述べたことが印象的でした。

障害のある方や高齢者、外国人などさまざまな当事者の視点をもつことで、気づかなかったことに気づくことができ、そして、ここにイノベーションの鍵があるのではないかと滝口氏は言います。

気づかなかったことに気づくためには、「 will not 」と「 can not 」をちゃんと使い分ける必要があるとのこと。「○○したいけど、○○ができない」「だから、それができる製品を作ろう」。この「○○したい」という当事者の視点を持たず、その意思を解決できないものは製品でもサービスでも価値が生まれないと説明しました。

私たちは、ロボットやAI、外国人の活用など、自らの視点だけで良し悪しの判断をしがちです。一つの視点だけで物事を捉えるのではなく、さまざまな視点をもち、考えられるすべての方法を試し、またはミックスすることによって、課題解決の可能性を探ることが重要です。

誰もが幼い頃より、「人の気持ちになって考えましょう」とよく言われたものですが、今一度、他者の視点をもって日々考えていきたいと思いました。