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2016/4/6

腕の動きを取り戻すことができる道具って?

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Interview



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今回は、東京都稲城市にあるテクノツール株式会社さんにお邪魔し、販売商品のアームサポート「MOMO」について、取締役の島田さんにお話をお聞きしました。



できることを増やすために


【深澤】テクノツールさんの主な事業は、障害者支援機器の開発や販売とお聞きしました。具体的にどのような製品ですか?

【島田】はい。テクノツールは、肢体や視覚などに障害をもつ方向けに、パソコンのソフトウェアや周辺機器の販売をしています。特にコミュニーケーションを支援する商品が多いですね。

弊社は主に、介護者の人たち向けではなく、本人のできることを増やす製品を自社で開発したり、海外から仕入れて販売をしています。自力でできることが限られてしまう障害当事者に対して、テクノロジーで何かできないかというのが私たちの考えです。そのなかで、アームサポート「MOMO」は最近販売を始めた新しい商品になります。

【深澤】なるほど。それでは、「MOMO」について教えてください。

【島田】「MOMO」は、筋ジストロフィーやALS(筋萎縮性側索硬化症)といった神経難病や、頸髄損傷の患者さんなど、腕が上がらなかったり動かせない方などを対象とした上肢装具です。「できることを、ふやす」をテーマに、腕の動きを取り戻すことを目的としています。机に固定して、アームレストに腕を乗せるだけのシンプルな設計です。ですから、設置や調整が簡単なので、病室やご自宅でも気軽に使うことができます。

【深澤】日常生活ではどのように使えますか?



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【島田】「MOMO」の使い方は、ご利用者の数だけ広がります。一番多いのはお食事ですが、それ以外にもパソコンやタブレットの操作、お化粧、趣味で絵を描いたりピアノを弾いている方もいます。この商品を使って、もう一度できるようになりたいことや新しいことに、ぜひチャレンジして欲しいです。もちろん、リハビリテーションや訓練でも役立ちますよ。

【深澤】セッティングはどうやって?



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【島田】まずテーブルに、テーブル用ブラケットを取り付けて、板を上下から挟み込みます。



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【島田】そして、本体をテーブル用ブラケットに差し込みます。



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【島田】最後に、アームレストを本体に取り付ける。たったこれだけなので、特別なスキルがなくても簡単に組み立てや調整ができます。動画でその様子を観ることができますよ。

【深澤】なるほど。「MOMO」を使うことで、まったく腕が上がらなかった人も、食事やパソコンなどできることが増えるんですね。

【島田】「MOMO」は2つのタイプから選べます。主に水平方向の動きや、肘を曲げる動きをアシストする「MOMO」と、水平方向に加え、肩の三角筋を使った上下方向の動きをアシストできる「MOMOプライム」です。

傾向として、筋ジストロフィーやALSといった筋肉・神経系疾患の患者さんには「MOMO」、頸髄損傷の患者さんには「MOMOプライム」が適していることが多いです。今後は、車椅子への取付や移動可能なスタンドに取り付けられるようにして、使えるシーンを広げていきたいです。

【深澤】場所を選ばず使えるようになれば、購入希望者がもっと増えそうですね。

【島田】そうですね。それと、この4月から障害者総合支援法に基づく補装具費支給制度の対象となりましたので、金銭面で悩んでいた方の購入するきっかけとなってほしいですね。

【深澤】追い風が吹いてますね。介護業界でも引き合いはありますか?



福祉機器のデザイン


【島田】そうですね、業界関係なく日本で普及させたい思いはあるのですが、現在は海外からの需要が多いですね。

【深澤】どこの国から?



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【島田】昨年、オーストラリアのシドニーにある一番大きい介護施設に導入しました。その介護施設を経営しているCEOの方が来日したとき、ある大学の先生から紹介してもらい、その方に「MOMO」をプレゼンする機会をいただきました。

商品の説明後、「MOMO」をとても気に入ってくれ、その場ですぐ購入を決めてくれました。その経営者の方は、日本に良い商品がないか探しに来ていたそうです。オーストラリアもかなり高齢化が進んでいるようですね。

【深澤】即決だったのですね。

【島田】はい。高い評価を得ることができました。いまはオーストラリアと同じ西洋文化のヨーロッパやアメリカへも展開を進めています。

【深澤】それはなぜでしょうか?

【島田】あちらの方たちは道具を使ってでも、できることは自分でやろう、自分でやってもらうおう、という意識が高いと感じています。

導入先も介護施設なので、日本でいうヘルパーのような職員さんもいっぱいいましたが、なるべく道具を使ってご本人自身にやってもらおうよという姿勢が、職員さんたちから強く感じられました。「MOMO」のようなものが受け入れられやすい環境があります。

【深澤】道具に頼ることへの抵抗が少ないんですね。日本では誰かにやってもらうことが多いですし、それが当たり前のイメージですね。



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【島田】社会全体にそういう意識があるからか、ヨーロッパでは福祉機器の開発も盛んです。我々も含む日本の福祉機器と比べると、もちろん機能が優れているものもありますが、全体的にデザイン性がとても高いんです。ヨーロッパで福祉器機の展示会に行ったら、日本にはない良いものがいっぱいありました。

【深澤】どういったところで、そう感じましたか?

【島田】細かいところだと、ネジやナットが見えないようにデザインされていたり、設置や調整のときにユーザーが工具を使う必要がなかったりします。見た目はもちろん、使い勝手も含めたデザインなんです。これは進んでいるなと感じました。日本の福祉機器にはない部分で、とても勉強になります。

【深澤】なるほど。ネジを見せない工夫はすごいですね。島田さんは、お仕事で大事にされていることはありますか?

【島田】目の前の人のことを、できる限り知るということを大事にしてます。例えば製品のフィッティング時に、その人がどんな人で何をしたいと思っているのか、そんなところをご本人によく聞きます。ただ製品を試してもらうだけではなく、どんなことに使いたいか。病気になる前は、何をしていたのか。趣味は何なのか。

というのも、うちの社員の多くはエンジニアで、考えが技術面によってしまうことが多いんです。そうではなく、製品をお客さんのやりたいこと望むことにうまく寄せることが重要です。お客さんの考えを技術者に通訳することも、私の重要な仕事の一つだと考えています。



「食べることの楽しさを思い出した」


【深澤】とても大事なことですね。お客さんとの関わりの中で、忘れられない言葉などはありますか?



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【島田】多くのお客さんから、感謝の言葉をかけてもらえます。進行性の病気だと、本人ができることは時が経つにつれ、少なくなっていきます。しかし、「MOMO」を使うことでできることが増え、「人生が180度変わった」と話されます。

また、ALSのお客さんから言われた、忘れられない言葉があります。その方は病気が進行していくと、食事という行動自体に疲れてしまい、気づかないうちに最低限の量しか食べなくなってしまいました。しかし、その方は、「MOMO」を使うようになってからは、食事で疲れなくなりました。そして、以前のように、たくさん食べれるようになったとき、その方は私に、「食べることの楽しさを思い出した」と笑顔で言われました。何よりも嬉しい言葉です。

【深澤】良い言葉ですね。私たちは普段、食べることに対してはなかなか意識しないですしね。できることを増やすことで、とても幸せになれるのですね。

【島田】自分でできることを増やして、より前向きで豊かな生活が送れる。「MOMO」を通して、そういう人が増えてほしいと願っています。

【深澤】そうですね。これからも頑張ってください。ありがとうございました!





アームサポート「MOMO」動画: https://www.youtube.com/watch?v=Gob50ENfxHk



テクノツール株式会社: http://www.ttools.co.jp/





作成者:深澤 裕之